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昔々スペインはバスク地方のとある農園です。
農場主の娘アディーナは、村一番の美人で、教養もあり、プライドが高いのです。彼女が一生懸命夢中になって読んでいる本は「トリスタンとイゾルデ」の恋の物語。つれない美女の心をとかす“愛の妙薬”というのがあるんですって。 |
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長年アディーナに恋こがれる村の青年ネモリーノ。
「ああ、何てきれいなんだろう、何て可愛いんだろう。見れば見るほど好きになる。
でも、僕には言い出すこともできない。」
お金も知識もないネモリーノはどうすれば彼女の心を手に入れられるかと悩みます。 |
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みんなの要望にこたえて「トリスタンとイゾルデ」の話を語ってきかせるアディーナ。
「そんな素晴らしい妙薬があるのなら、是非とも手に入れてみたいものだわ」
それを聞いていたネモリーノも
「ああ、そんな妙薬があればなあ・・・!」 |
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平和な村に軍隊がやって来ます。兵士たちを率いているのはベルコーレという軍曹さん。色男で自信満々で、早速アディーナに目をつけ求婚しますがさすがにアディーナ。
「私を落とすのは、そう簡単じゃないのよ」とにべもなくはねつけます。
「ああ、僕にもあんな積極性があったらなあ・・・」と嘆くネモリーノです。 |
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| そこへやってきたのが、インチキ薬売りの有名なドクター・ドゥルカマーラ先生。万病に効く素晴らしい薬を特別安くお売りしますと、早口の能書きをまくしたて、素朴な村人たちを狂喜させます。 |
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ドゥルカマーラ博士の能書きを聞いていたネモリーノは、すっかり感激して、
「トリスタンがイゾルデに使ったとかいう“愛の妙薬”はおもちではないでしょうか?」とたずねます。
「もっているとも! あれはわしが作っておるのじゃ」と、ネモリーノの全財産を巻き上げ、安ワインを“愛の妙薬”と偽って売りつけるドゥルカマーラ先生です。 |
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安ワインを飲んですっかりいい気分になったネモリーノは「一日たてば、女という女が皆お前を愛するようになる」というドゥルカマーラ先生の言葉をすっかり信じて、アディーナに対して、自信満々です。
「へへへ、明日になれば・・・」
ネモリーノの急な態度の変わりように怒るアディーナです。 |
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怒ったアディーナはあてつけにそこへやってきたベルコーレ軍曹との結婚を承知してしまいます。しかも、軍隊は明日出発することになってしまったので、
「いいわ、じゃあ、今日結婚しましょ」とアディーナ。 |
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「アディーナ、待ってくれ、今日は駄目だよ! 明日になれば君は僕を愛するようになる。そうしたら苦しむのは君なんだ」
一生懸命止めようとするネモリーノに怒ったベルコーレ軍曹は、ネモリーノを殴りつけます。 |
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ネモリーノの必死の嘆願をよそに、あれよあれよというまに村をあげてのアディーナとベルコーレ軍曹の結婚式です。でも、本当はアディーナの心はネモリーノのことで一杯です。
「見せつけて苦しませてやりたいわ」 |
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何とかアディーナの心を自分のものにしなければと焦るネモリーノは、ドゥルカマーラ先生から、もう一本“愛の妙薬”をわけてもらおうとしますが、お金がありません。そこで仕方なく、ベルコーレ軍曹の誘いにのって、兵隊になる契約をします。
「彼女の心がたった一日でも得られるのなら、僕は戦場で死んでも本望なんだ」 |
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| そんなとき、街に住むネモリーノの伯父さんが亡くなり、ネモリーノに莫大な遺産が入ったという報せを村娘たちが秘かに聞いて、みんな、自分こそ、ネモリーノのお嫁さんになろうと大騒ぎ。 |
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| そんなことは少しも知らないネモリーノは、村娘たちに急にもてるようになったのは“愛の妙薬”のおかげだと大喜びです。その様を見ていたアディーナは、驚いたりくやしがったり・・・。 |
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けれど、ドゥルカマーラ先生から、ネモリーノがアディーナの愛を得たい一心で兵士になる契約までしてお金を手に入れたと聞かされて、彼女はショックを受けます。
「何という愛・・・! そして私は何という愚かな女!」 |
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アディーナの涙をものかげから見たネモリーノは、
「もう思い残すことはない。これで十分だ。あの人の人知れぬ涙を僕は見た」と切々とよろこびを歌い上げます。 |
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そこへ、ベルコーレ軍曹から入隊契約書を買い戻してきたアディーナが現われ、これまでの仕打ちを詫びて、
「あなたは、私の大切な人なの。この村を出ていかないで。永遠の愛を誓います。」と告げます。
「おお! 何という幸せ! 愛の妙薬のおかげだ。」 |
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村を去るドゥルカマーラ先生にネモリーノは感謝します。
「偉大なドゥルカマーラ先生、またこの村に来て下さい。私達はあなたのことを忘れません。」
「さあさ皆の衆。ネモリーノを幸せにしたこの“愛の妙薬”をいかがかな。」 |
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